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腕時計のムーブメントやケースには様々な仕上げが施されます。今回は素材表面の加工方法を紹介していきますよ。これらの仕上は主に時計の装飾として用いられていて、高級な時計ほど高度で美しい仕上が施されます。
装飾としてはもちろんのこと、近年では模造品対策としても有効となりました。高価な時計ほどムーブメントを見ればわかるといわれるほど、簡単には真似のできない技術で仕上げられています。
代表的な加工方法
コート・ド・ジュネーブ / ジュネーブ・ストライプ

時計のムーブメントや自動巻ローターの表面など、広い面積の金属部分に施される研磨仕上げの一つ。湖面をイメージしたものだと言われる伝統的な研磨仕上の一つです。腕時計のメッカであるジュネーブの名前があるとおり、古くからある伝統的な仕上げ技法です。回転する研磨ディスクを少し傾け、研磨する素材に押し当てて横にスライドさせながら作っていきます。見た目の美しさと技法の難しさから比較的高級なラインの時計に多い仕上です。ランゲではストライプ仕上げなんて呼んでますね。
最近ではロレックスがこのコート・ド・ジュネーブにひと手間加えたロレックス コート・ド・ジュネーブというのも出ています。
ペルラージュ加工 / サーキュラーグレイン

フランス語で真珠を表すperleが語源となった、真珠がたくさん並んでいるように見る加工方法。日本の青海波(せいがいは)と同じような模様ですね。たしかに真珠が並んだようなイメージにも見えますね。このような連続したうろこ状の模様を作るには、加工面に回転する砥石を押し当てて、円系や半円系の模様を作ります。この加工がされる箇所は現在では比較的目が付きにくい箇所で、文字盤側の見えなくなる箇所に多くみられる加工です。IWCなんかではサーキュラーグレインと呼んでいるようです。
サテン加工 / ヘアライン

平行な線を走らせた仕上方法で、直線や円系で用いられます。画像の真ん中、ステンレスの部分がサテン加工。まるで美しいストレートロングヘアのような輝きですね。その見た目からヘアラインとも呼ばれます。比較的加工がしやすく傷や汚れも目立ちにくくなるため、ムーブメント以外にも時計の外装にも多く採用されます。
ポリッシュ / 鏡面加工

サテン加工と並んでメジャーな加工方法のポリッシュ加工。目の粗い物からどんどん細かいもので研磨していくことで、鏡のように光沢をもたせた加工方法です。鏡面加工ともいわれますね。高級感を出しやすく、サテン加工とは見た目が大きく違うため、並べてデザインすることで時計に立体感や情報量を増やす効果があります。ロレックスでもステンレスの通常モデルでは全面ヘアラインでも、金を使ったモデルになると一部がこの鏡面になるモデルがあります。このように比較的高級ラインで使用されることが多い加工方法です。
サンバースト

主に大きめの歯車や香箱に施される仕上で、中心に向けて模様が放射線状に渦を巻いているように施されます。名前の由来は、太陽の光から来ています。主に円形のパーツに施されることが多く研磨する部品と、研磨用ディスクをそれぞれ逆に回転させるとこの文様が出来上がります。文字盤などで使用されるサンレイ仕上とは別の仕上です。
エングレーヴ / エングレーヴィング

エングレーヴは人の手で彫刻を施す技法です。その為彫刻を施す人の癖や特徴が反映され、それぞれが個性となって表れ、世界に一つの作品となります。もちろん手作業なので、最高級のモデルに多く施され、否応なく高級感を演出できますね。花や植物などがモチーフとして描かれる場合が多く、ランゲ・ゾーネはテンプ受けにこの加工を施す事で有名ですね。
採用ブランド:ランゲ・ゾーネ、モリッツ・グロスマンなど
面取り

高級腕時計に施される「面取り(めんとり)」は、加工後の鋭角な面の角を丸く研磨する技術です。これにより時計のデザインを洗練させ、滑らかな印象を与えます。また、光の反射を調節し、輝きを生み出し、品質やクオリティの高さをアピールします。時計の外装でも重要で、これが出来ていない時計は角が腕に当たり着け心地が悪くなります。
手仕事での作業が必要な場合が多く、偽物との見分けるポイントにもなりますね。
サンドブラスト加工

時計のケースや部品に粒子を高速で噴射して表面を均一に研磨する加工方法です。見た目の効果としては今まではライン仕上か鏡面のどちらかだったものに加わり、マットな仕上がりになる効果があります。
外装部分でも使用される事があり、ロレックスヨットマスターのベゼル部分はこの加工で立体的に見せていますね。
ブランド独自の加工方法
ロレックス コート・ド・ジュネーブ

2023年の新作モデルから導入された、ロレックス独自の加工。ちょっとわかりにくいですが、赤い矢印のコートドジュネーブのラインの箇所に、鏡面のラインが見えるかと思います。通常でも技術を要するコート・ド・ジュネーブにさらに難しい加工を施す事で、より美しさと希少性を高めています。
今後この加工をロレックス全てのムーブに施すことになると、さらにロレックスの時計は模造のしにくい時計となるでしょう。
採用ブランド:ロレックス